

『世界の車窓から』
ロシア人、キューバ人、アメリカ人、それと弁護士が同じ列車に乗り合わせた。
ロシア人は自分のカバンから最上級のウォッカを取り出し、グラスに注ぎ、ちょっと飲んでから言った。
「ロシアにはですね、世界でも最高級のウォッカがありますが、これほど上等のウォッカは、どこへ行ってもないですよ。だけどロシアにはたんとある。だからこうやって惜しげもなく捨てられる」
そう言いながら、彼は窓を開けて、飲み残しのウォッカをボトルごと投げ捨てた。他の三人はあっけにとられていた。
キューバ人がハバナを一箱取り出し、一本抜き取って火をつけ、喫いながら話をした。
「キューバには、世界でも最高級の葉巻がありますが、ハバナほど上等の葉巻を探そうたって、どこにもあるもんじゃないです。キューバには山ほどあります。だからね、惜しげもなく、こうやって……」
と言いながら、彼は窓をあけて葉巻を箱ごと投げ捨てた。またもや三人はあっけにとられてしまった。
「なるほど。山ほどあるのなら、どんな大事なものでも捨てられるということか……」
2人の行動に感心させられたアメリカ人は、さっそく弁護士を窓から投げ捨てた。


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