

『羊飼いの老人と男』
あるアメリカの片田舎。見渡す限り広がる草原では、多くの羊がのんびりと草をはんでいた。
すると、そこに突然、真新しいクルマに乗ったアジア系の男がやってきて、羊飼いの老人の前に立った。
男は老人にこう言った。
「あなたの羊が何匹いるのか、一発で正確に当てたら、一匹いただけますか?」
そんなことは無理だと考えた老人はその申し出をOKした。すると男はバッグからノートパソコンを取り出し、インターネットでNASAと繋ぐと、探査衛星システムを使ってデータを収集し始めた。
しばらくして男は言った。
「307匹。違いますかな?」
老人は言った。
「正解だ。1匹持っていきな」
男は1匹を乱暴につかんで、自分のクルマのトランクへと放り込んだ。その様子を黙って見つめていた羊飼いの老人は、こう言った。
「では、今度は私の番だ。君がどこの国の人かを一発で当てたら返してくれるかね?」
「なるほど、いいでしょう」
老人は考えるまでもなく、こう言った。
「君は日本人だ。そうだろう?」
すると、男は悔しげに頷いた。
「しかし、なぜわかったのでしょう?」
老人は言った。
「そんなの簡単じゃよ。あんたは呼びもしないのにここへ来た。そして、オレがとうに知っていることを自慢げにあとからなぞって金を得ようとしている。こちらは何も頼んでないのにね。
しかも、あんたはオレのビジネスを全く理解していない。さて、オレの番犬を返してもらおうかな」


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