『砂漠のレストラン』

 ある男が砂漠の真ん中をクルマで走っていたが、突然エンジンが故障してしまった。
 白煙を噴いたクルマは、あえなくまったく動かなくなってしまった。男はやむなく、砂漠をゆっくりと歩き出した。
 ギラギラと照りつける太陽の光が、男の体力を奪っていく。男の喉は乾ききっていた。

 数時間後、ようやく一軒の小さな小屋を見つけた。男はふらふらになりながら、その小屋の中へと入っていった。男は言った。
「水をくれ。頼む、水を」
 すると小屋の奥から一人の中年男性が出ていて、こう言った。
「あいにくだが、ここには水は一滴もない」
「そ、そんな」
「だが、ここから10キロメートルほど行った所にレストランがある。そこへ行けばいくらでも水を飲むことができるだろう」
 それを聞いた男は仕方なく小屋を後にして、レストランへ向かおうとした。すると中年男性が背後から声をかけた。
「そんなことより、ここはネクタイ屋なんだ。いいネクタイがいっぱいある。一本たったの5ドルだ。買っていきなよ。きっと気に入るのが見つかると思うぜ」
 男は振り返ると、叫ぶようにして言った。
「こんな時に冗談じゃない! 一体何を考えているんだ、この間抜け野郎!」
 男は最後の力を振り絞って、レストランまで這うようにして歩いていった。

 数時間後、とうとうレストランにたどり着いた。
「助かった。これで大丈夫だ」
 男はそうつぶやいてレストランへ入ろうとした。すると入口にいたウェイターが男の前に立ちふさがってこう言った。

「お客様、当店ではノーネクタイの方はご遠慮願っております」
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