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『とある兄弟』

野球が大ファンの兄弟、クリスとジョンがいた。
兄弟はその人生のほとんどを野球談義に費やし、また、年に60回も草野球の試合をするほどの熱の入れようだった。

そんなある夏の晩、ヤンキースの勝利を見届けた後、弟のクリスが眠るように息を引き取った。
実に幸せな死だった。

それから3日後の晩、兄のジョンは、枕もとで囁く声に気が付いてベッドから飛び起きた。

「兄さん、分かるかい?、オレだよ。オレ。」

ジョンはその聞き覚えのある声に、思わず声を上げた。
「その声は、ク、クリスか!」
「そうさ、兄さん、元気かい?」
「どひゃー、何だって、し、信じられない!」

ジョンは声のする方向に向かって、続けて言った。
「そうか、クリス。1つ聞いてもいいかい?兄ちゃんは、どうしてもお前に聞きたい事があるんだ。」
「何だい?」
「天国では、野球が出来るのかって事だ。」

すると、言葉を選ぶような様子でクリスが返答した。
「それについて、良いニュースと悪いニュースがあるんだけど…どっちを先に聞きたい?」

ジョンは不思議そうな顔をして答えた。
「はて?それじゃ、良いニュースから聞かしてくれよ。」
「じゃあ、言うよ。まず、良いニュースと言うのは…天国では、野球がし放題ってことさ。」
「おおっ、やった!、それを聞いて安心したよ!」

ベッドで小躍りする兄に、弟は続けて言った。
「それで、悪いニュースって言うのは…」
「明日の試合の先発予定が、兄ちゃんだ、って事さ。」
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