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『通訳』

 日本人のスズキはニューヨークでも有数のやり手の税理士だったが、顧客の中にマフィアのボスがいた。

 ある時、このボスが彼にこんな依頼をしてきた。
「日本のヤクザの男が50万ドルを持ち逃げした。なんとかこのヤクザを捕らえたのだが、金の隠し場所が分からず、言葉も通じないので通訳として来てくれないか」
 税理士のスズキは了承し、マフィアのアジトまで赴いた。

 そこではヤクザの男が椅子に縛られていた。マフィアのボスがヤクザに怒鳴った。

「金はどこだ! 早く言わないか!」
 スズキはすぐに通訳した。

「そんなこと、言うわけないだろう」ヤクザが日本語で言った。
 スズキはそれを英語に訳してボスに伝えた。それを聞いたボスは拳銃を手にしてヤクザの右足を撃った。

「もう一度聞く! 金はどこだ!」
「絶対に教えないぜ」スズキは言葉のまま通訳した。ボスが今度はヤクザの左足を撃った。

「これが最後のチャンスだ。これで言わないと次はお前の頭に撃ち込むからな!」
 スズキがその言葉を訳して伝えると、さすがのヤクザも顔を歪めてこう叫んだ。

「わかった。すべて話すから助けてくれ。いいか、オレの家のガレージに停めてあるクルマの中だ。助手席の下に隠してある」
 それを聞いたスズキはこう通訳した。

「ボス、彼は今こう言いました。『死ぬのはまったく恐くない。お前など地獄に堕ちろ、さあ殺しやがれ』と」
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